「賃貸に住むべきか、それとも持ち家を保つべきか」という老後の住まい選びは、誰しもが一度は考える重要な問題です。どちらがいいか一概にはいえませんが、ここでは持ち家・賃貸それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
持ち家のメリット・デメリット
老後の住まいは賃貸ではなく持ち家であるという方は多く、ローンを完済していれば賃料が発生しないというメリットがあります。老後までに修繕費や固定費など住居にかかる費用を逆算して積み立てておき、定年までにローンを完済することを計画的に実行できれば、持ち家で暮らすことにはメリットがあります。自分の家があるという事実は精神的な安定をもたらし、老後の生活も安心して送れるようになるでしょう。
しかし、持ち家は自分がなくなった後に誰に引き継ぐのか、修繕費用・固定資産税・火災保険料などの維持費をどのように捻出するかという懸念があります。持ち家は資産ですが現金化が難しいこともあるので、子どもに引き継ぐ場合も慎重な判断が必要です。持ち家で安心して暮らすには、長いスパンで貯蓄・返済計画を立て、それを実行する必要があるという点がネックです。
賃貸のメリット・デメリット
賃貸は持ち家と違って安定感はないものの、柔軟性が高いというメリットがあります。つまり、自分のライフスタイルや健康状態に合わせて、必要に応じて住む場所を変えられるということ。月々の賃料は発生しますが、家の修繕費用や固定資産税などの負担も、持ち家と比べると軽くなります。
将来に両親と一緒に住む予定がある、老後は施設に入る、あるいは両親のうちどちらかが一人で暮らしている実家を相続する可能性があるという場合には、あえて賃貸暮らしを選択し続けるという選択肢もあります。相続開始前の3年以内にマイホームに住んでいない子どもに対しては、評価額に対して80%もの減額率が適用されるからです。相続税の負担が一気に軽くなるので、特に希望がなければ賃貸で住み続けるという方法もいいでしょう。
しかし、賃料は継続的な出費で、その費用は実質掛け捨てです。老後に住居を移る場合でも、契約を結んでもらえるかどうかという不安はあります。
長期的な計画を立てて住まいを選ぼう
持ち家にしても賃貸にしても、老後にどのような生活をするのか、どういう可能性が考えられるかしっかりと考えて、計画的に住まいを選ぶことが重要です。住まい選びに正解はありません。家族のライフスタイルや健康状態、財政状況や相続の内容について考慮した上で、最適な選択を取る必要があります。