老後はどのくらいお金を使うのか

老後に使うお金

老後のために貯めた資産は老後になったらほとんど使わない

2018年アメリカ従業員給付研究所は、高齢者の資産と支出に関するデータをもとに、定年退職後の20年間でどれだけ資産が減少したのか調査しています。
調査結果によると、ほとんどが収入と支出が同程度のため、自分の資産を使い始めるのが非常に遅いことがわかりました。
資産額が多い人ほど、20年後または死亡するまでに11.8%程度しか使っておらず、88%も残したまま亡くなっています。
資産が少ない人は、老後に資産を使う割合が高くなりますが、それでも4分の1しか減っていません。
そして、対象者の3分の1が、退職後に資産を増やしていて、資産を取り崩すのではなく増やしていたのでした。
これはアメリカの調査結果であり、日本に当てはめるのは難しい部分はあります。

望むライフスタイルが実現できるのか

日本では原則として国民年金制度によって、老齢基礎年金を受給できます。
具体的にいくら受給できるのかは、現役世代の所得や年金保険料をきちんと収めていたかどうかで変動します。
総務省統計局の2019年家計調査年報によると、世帯主が65万円以上の夫婦世帯における食費、住居費、水道光熱費、税金などの支出は27万929円。
対して、収入は公的年金などで23万7,659円のため、毎月3万3,000程度の赤字となります。
基本的に公的年金だけの場合、不足分を補わなければなりません。その額を月5万円として、老後生活を30年とすれば、計1,800万円必要です。
つまり、最低限の老後資金として、これくらいの金額が必要ということです。ただし、この統計は個々の生活水準を考慮しておらず、家庭によって平均以上になる場合もあります。

老後、資金を調達するのは難しい

老後資金は必要ないという意見もあり、日本では社会保証制度により、生きるか死ぬかの問題であれば、さまざまなセーフティーネットが設けられています。
それらは最終手段として、自分で資金調達を考えなければならないでしょう。
資金調達の方法としては、年齢や健康状態によって働くという手段もありますが、現実的ではありません。
投資や資産運用で増やす方法もありますが、それなりの元本が必要ですし、リターンを得るにはリスクもあります。失敗した場合は取り返しがつきません。
そのため、今からできることを試算して、今後どのくらいのペースで貯めていくのか割り出します。それらをベースに適した老後資産作りを実践していくことが大切です。